ああ、ああもうだめ。と鳴く声が可愛くて、まだもうすこし、まだ、とロイのチンコを扱く手を速める。さっき出したばかりのザーメンが絡んでぬるぬるするから、指が滑って亀頭のくびれをつよく掠めてしまった。「んんッ!」と上がる艶めいた悲鳴。途端にどっと先走りが溢れて、ロイは太腿の内側を緊張させた。
「だにー、もう、だにぃ、おねがい……」
浴室内に反響する自分の名前に興奮してしまう。壁に手をついたロイを背後から抱きしめて、襟足の短い後頭部に額をこすりつけながら敏感なところを触り続ける。おれのブツもとっくに硬く張り詰めて、だらだらと涎を垂らしているけれど、そんなものに構っている暇はなかった。
「ン、三回もイったのにまだ硬くなるの、すげー」
「ふう、うう、だにぃ、つらい、やだ、いれ、いれたい……」
「だあめ。週明けの検査に引っ掛かっちまうかもしれないだろ」
あやすように先端のくぼみをぐりぐり撫でると、ロイは意味のない台詞しか喋れなくなったみたいに「あう、ううー」と喃語で応えた。
おれはもうロイ以外とは寝てないし、ロイもおれ以外と寝る予定はないし、定期的に性病やら何やらの検査は受けているけれど、地球外任務で必要な健康診断に通らなかったら、おれもロイもぜったいに後悔する。だって、宇宙での仕事はこいつにとって大事なものだし、おれもそれを尊重している。だから、同棲を始める前から任務前のセックスはなしと決めている。
でも、お互い触れ合いたい気持ちはつのるばかりなので、挿入しないでするエロいことはだいたい試した。いっぱいあるから割愛するけれど、今日はひたすらにロイを気持ちよくさせたい気分だった。普段はつとめて冷静な低い声が、ちゅくちゅく水音の響く浴室で甲高い鳴き声に変わる。何もかも我慢して内側に溜め込んでしまう性質も、すこしずつ崩していけば素直になるところが可愛いかった。
「ロイ、いい子だな、かわいい。もうイけるか?」
「うんっ、うん、いく、いっちゃ……んんッ」
びゅく、と指の隙間から白い体液が飛び出る。
びくびくと腰が痙攣して崩れ落ちそうになるのを抱きとめ、ゆっくり浴槽の底に座らせる。しばらくぶりに向かい合って、はあはあと息を切らせるロイの肩を撫でながら、ザーメンも最初よりだいぶ薄くなったし、このあたりでやめておこうかなと思ったのに──。
「やっと、きみのかお、みられた」
ふやん、と目を細めてそそる顔をするから。
ああ、無理だ。
せっかくとめた手を、もう一度だけロイのものに添えて擦り上げる。「ひン!」イったばかりで敏感な性感帯を刺激しても、勃起するだけの元気はないらしく、チンコはふにふにのままだった。けれど、おっ勃てなくても出せるものがあるのを知っているおれは、力なく閉じようとする両膝の間に身体を捩じ込んで動きを続ける。
「ん、ん、だめ、だにー、ほんとに、だめッ、だから、」
「ほんとにだめか? セーフワード決めただろ、言えよ」
無理強いはしたくないから手を緩め、先に進んでもいいか上目遣いで尋ねる。すると、クンクン小動物みたいにちいさく鳴いていたロイは、潤んだ青い瞳でまっすぐおれを見て「いわない……ほ、ほんとはだめじゃない……」と、耳まで真っ赤になりながら声を絞り出した。思わず「くう」と喉の奥で息を呑む。
「かわいい、かわいいな、ロイ。我慢するなよ、おれの前ではどうなっても大丈夫だからな、いっぱい気持ちよくなろうな」
「うん、うん、」
必死にこくこく頷く頭を捕まえて、ちゅ、と鼻の頭に口づける。
それを合図に手の動きを再開して、もうロイが何を言ってもやめないくらいのつもりで亀頭をじゅくじゅく扱き続けた。とろとろ溢れるものをすくって、先端に塗り込めるよう尿道口を弄る。ひくひく開閉する様子が分かるくらい反応しているのを、いい兆候だとそのまま指でぐちゅ、とこじ開けた。
「あ、あン、あああッ」
ぷしゃッ、と音を立てて勢いよく潮を吹き、ロイの両脚がきゅっと縮こまる。びくんびくんと身体が跳ねるたび、チンコの先からしょろ、と透明な体液が溢れた。快感で放心したままのロイに、「よく頑張れたな、気持ちいいな」と声を掛けながら頭を撫でると、しばらくぴるぴる感じ入ってから「ん、きもちい……」とオウム返しに応えてくる。それがなんとも言えない感情を呼び起こして。
「すっげえ、いま腹ンなかキュンキュンきた」
とにかく何か体内に入れたくて、目の先で顎につたう汗だか何だか分からない液体を舐め取る。「しょっぱい」と笑うと、ロイもとろとろに蕩けた顔で「ナトリウムがふくまれているからね」と言って、ふにゃりと笑い返した。