素人淫乱宇宙飛行士マク◯ライド少佐45歳~未知なる快楽追体験の記録~ vol.2

──あらすじ。

 宇宙軍所属のロイ・マクブライド少佐は、彼の失脚を狙ってスキャンダル映像を撮るよう命令された元グリーンベレー所属のクリフ・ブースに好意を抱いてしまい、罠と知りながらも抱かれてしまう。情を交わすうちロイに惹かれてしまったクリフは雇い主の上官を裏切り、ロイを守ることに決めて護衛の任務を続ける。しかし、諦めきれない上官は新たな刺客、魅惑的なボトムのダニー・アーチャーを送り込む。彼は、セクシャル・エントラップメントで男たちを次々と陥落させる、おそろしい名器の持ち主だった。さらなる快楽の罠に巻き込まれるロイの運命はいったい、どうなってしまうのか──。

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 高級ホテルの一室で仕事を終えたダニーは、一服しながら端末で映像を送信していた。
 今回のターゲットは、大企業の社長。彼の座を奪わんとする人物から依頼されて、見返すのも憚られる変態的な情事の現場を撮影した。いつもの汚れ仕事。傭兵時代から周りの男どもに性欲の捌け口として扱われてきたダニーは、そんな環境に嫌気が差して金を貯めて逃げ出してきた。けれど、結局は前と同じような仕事で食っている。

──お前は、肉便器だよ。

 いつかの誰かに言われた台詞を思い出して、ダニーは苦々しく唇を歪めながら煙草を揉み消した。でもまあ、こいつがおれの武器になってくれる。ターゲットの男に中出しされた精液が、たらりと太腿を伝って落ちた。相手は情事が終わると「部屋は一晩取ってあるから」と言い残して去った。とりあえず、今夜は安普請のフラットに帰らずにすむ。あそこは隙間風が入ってきて肌寒いのだ。ここは空調も利いていて暖かい。はやくシャワーを浴びたいが、緩やかな眠りの帳が下りてきて──と、仕事用の端末が着信を知らせた。

「はい、アーチャーです。用件は?」

 依頼内容と報酬について交渉し、条件が合ったので引き受けた。すぐ端末にターゲットの情報が送られてくる。次の相手は、宇宙軍所属ロイ・マクブライド少佐。写真を見た感じだと何の害もなさそうな男だが、依頼主は彼を失脚させたいらしい。まあ、これもビジネス。深入りは禁物だ。軍の施設に入るための手続きを確認し、ダニーは後処理をするためにバスルームへ向かった。

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 ダニー・アーチャー。三十一歳。元傭兵。訓練を終えたばかりの新人。
 新しく送られてきた資料を読んだクリフは、あきらかに怪しいと直感した。ロイに関わる人物は毎回チェックしているが、次の任務から部下として配属されるアーチャーという男は、おそらく例の上官の刺客だ。おれと同じにおいがする。長年、セクシャル・エントラップメントを生業にしてきたカンが、そう告げていた。だが、いますぐ手を回すのは悪手だ。相手の出方を伺いたい。

──どうしてやろうか。

 クリフが気を回していることなど知る由もなく、ロイはソファで仮眠を取っている。遠慮がちに肩に乗せられた頭の重さが心地よくて、しばらく静かな寝息を堪能するために、読んでいたファイルをテーブルに放った。

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「失礼します。ダニー・アーチャーです」

 迷彩柄の軍装に身を包み、上司であるロイに敬礼をする。月での紛争を鎮圧するために配属された、という体裁で宇宙軍に潜入した。ここまでは手筈通り。ぱっと見た感じだと、ロイは何の後ろ暗いところもない潔白な男だった。何度か任務に同行したが、常に冷静沈着で隙がない。軍人らしく堅いところもあるかと思えば、任務以外で目にしたときの彼は、ふっと無防備な顔になる瞬間があって、いまいちどういう人物なのかよく分からない。ただ、どんなに誘惑をしたところで、絶対に乗ってはこないだろう。事前調査や仕事で接した印象だと、性欲とは無縁です、といった感じだからだ。あまり使いたくない手だが、催淫剤の利用を検討するべきかもしれない。

 もうひとつ、懸念があった。
 ロイの護衛を務める、クリフ・ブースという男だ。こいつが忠犬よろしく、四六時中ターゲットの周りに控えているせいで、接近するチャンスがなかった。長期戦は得意じゃない。嫌な仕事はさっさと終わらせるにかぎる。

「アーチャー、報告を」
「Sir, 今回の鎮圧では──」

 ロイに報告をしながら、ダニーはすこしだけ居心地のよさを感じていた。こんなふうに、まともな仕事で食っていけたらいいのに。どうして、いつまでも汚れ仕事を続けているのだろう。たまに思い浮かぶ疑問を、いつものように振り払おうとして失敗した。「どうした、続きを話せ」おかしなところで話を止めてしまったらしい。怪訝そうな口調で声を掛けられ、はじめて自分が動揺していることに気づいた。クソ、だから長く関わるのは嫌なんだ。それも、こんな清らかな存在に。「申し訳ありません、少佐」すぐに詫びて、報告を再開した。

「以上です」
「ご苦労だった」

 簡潔な会話。そういえば、世間話なんていうものをしたことがないな、と思った。ダニーは、いちおうロイの部下ではあるが、役目が異なるので行動を別にすることの方が多い。潜入のために得た身分は付け焼き刃で、少佐とはかなり距離感があった。同僚に愛想よく接するロイの姿を見たことがあるが、本来は人間関係を築くことに消極的な性質なのだろう。何処か壁を作っていると感じる。おれも同じだから、何となく分かる。誰かと深く繋がるのは危険だ。こころを縛られたら、ずっと利用される。ダニーは、自分を拾って傭兵に育ててくれた人物を思い出していた。おれをはじめて抱いたひと。あのとき、ダニーの将来は決定した。それは、離れてもなお影響を及ぼすほど、強く身に染みている。

──馬鹿らしい。何でいまさらそんなこと。

 その場を動かないダニーを不思議に思ったのだろう。「どうした」と控えめに掛けられた声と、気のせいでなければ眼差しにもわずか、心配するような気配が含まれていた。こいつ、こんな目もするんだ。透き通った青い瞳。汚れたおれと違って、何処までも綺麗な男。「いえ、失礼しました」不審に思われないよう、何か言い訳をしたらしいが、退室したときには忘れてしまった。おかしな情が湧く前に、はやくこの男を落とさなくては──。

//

 その日、ダニーはロイの個人オフィスに呼び出された。  任務の確認でも報告でもないタイミングだったので、この間のことで何か感づかれたのだろうかと緊張しながら入室すると、そこではとんでもない光景が繰り広げられていた。

「あッ、う、うそ、鍵、閉めたって……!」

 仮眠用のソファベッドに座る、軍服をきっちりと着込んだ護衛、に後ろから犯されるロイの姿。ジャケットを落とし、黒いシャツと片脚に引っ掛かったスラックスのみを纏って、背面座位の格好で両脚を大きく開いている格好は、普段の冷静沈着な彼と正反対で。言葉も出せずに立ち尽くしていると、護衛の男、クリフが口を開いた。

「ダニー・アーチャー、あんたスパイだろ」

 サッと血の気が引いた。正体を知られている。しかし、クリフはダニーの反応などよそに、ロイへと何かを囁きながら愛撫を続けた。「んッ、なんで、くりふさ……」嫌がりながらも、後ろから身体を弄る手に抗えず喘いでいる様子で、これがはじめての行為ではなさそうだと分かった。にやりと口角を上げたクリフが「作戦に協力してやるよ」と言うのに、動揺するとともに困惑する。「……何故?」「おれも同業だ」はいそうですか、と頷くわけにはいかない。警戒していると、ある上官の名を告げられた。それは、ダニーの依頼主と同じ名前だった。

「仕事、被ったみたいだな」
「クソッ、おれ一人じゃ役に立たないってか?」
「知らねえよ。それより、するのか? しないのか?」

 迷ったが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
 ダニーは迷彩ジャケットの前を肌蹴けながら、ソファに近づいた。「カメラは?」「部屋に仕掛けてある」必要最低限の確認だけすると、すぐさま行為に加わる。クリフに後ろから抱かれているロイの前に跪き、曝け出された両脚の間に収まる。白い太腿の内側に手を添えて「少佐、申し訳ありません。おれの本来の仕事はこっちなんです」と慇懃無礼に詫び、目の前でそそり勃つ性器に舌を這わせた。

「あッ、だめ、それ、や……!」

 ダニーの頭を押し離そうとする手は弱々しい。力が入らないのだろう。後ろからも前からも性感帯を刺激されて、ロイは余裕を失いつつあった。ひんひんと泣きながら口淫に耐えてはいるが、竿をぞるる、と舐め上げてぱくりと先端を食むと、身体がびくんと跳ねる。感度がいいこった。背後からロイの胸を弄る手は、ときおり乳首をくりくりと捻ったりぴんと弾いたりして愛撫を続けている。すっかりクリフとの情事で調教されたそこは、ぽってりと腫れ、ピンクに色づいていた。ロイは、強く弄られるたびに「ひゃん、ああ、ん」とあえかな嬌声を上げて身を捩っている。

──可愛いな。

 常に無表情で何事にも冷静に対処する上司が、眉を下げて涙目で快感を享受している。性欲と無縁だなんて、どうして思ったのだろう。ロイはまさに、色欲の虜だった。とろんと蕩けた顔を晒し、ほうっと甘やかなため息を吐いている。その顔をもっとどろどろに気持ちよくしてやりたくて、ダニーは口淫を激しくした。なかなか立派なものを喉奥まで受け入れて、じゅっぽじゅっぽと出し入れする。竿の根本を扱きながら、陰嚢を揉んでやることも忘れない。完全に勃ち上がり硬さを増したそれは、口内の粘膜よりも熱くてどくどくと脈打っていた。ロイが「んんッ、ま、って!」と焦ったような声で叫んだが、遅かった。びゅくッと勢いよく吐き出された精液を、まともに口で受け止める。

「んぶ、んん」

 なかのものを零さないようにしながらロイの性器を解放し「んあ」と開けたそこには、とろりと白濁した精液が溜まっていた。赤い舌を扇情的に突き出してひらめかせ、裏までちゃんと見せつける。何処もかしこも自分の放ったものが絡んでいて、ロイはいやらしさと恥ずかしさに目眩がした。しっかりと確認させたのに満足したダニーは、わざと音を立てて舌をしまい、ごくりと精液を飲み込む。「あんたの、美味しい」うっとりと目を細めて、いちばん相手の情欲をそそる蠱惑的な表情で見上げる。だいたいの男はこの上目遣いで落ちるが、はたして少佐殿はどうかな。

 ロイは、漂う色気にあてられていた。とてもうつくしいひと。クリフさんとはまた違う魅力を感じる。俗っぽい言い方をするなら、そそられる。こくり、ちいさく喉を鳴らした。彼の身体に触れてみたい。ダニーを見つめるロイが考えていることを察したクリフは、耳元で「やってみろよ」と囁いた。「好きなようにしてみろ。こいつはあんたに抱かれたくてうずうずしてるんだ。おれが見ててやるから、満たしてやれよ」そんなことを言われても、どうしたらいいのか分からないロイは困って眉を下げた。

「あは、この先のこともシてみたいか?」
「あ、うう、してみたい……」

 猫のように伸び上がって、ダニーはロイの唇ぎりぎりまで近づいた。「フェラした口だけど、気にする?」「え、あ、そうか……しない」クリフにされるときは気にせず普通に口づけていたから、わざわざ訊かれると照れてしまう。優しく微笑むダニーは、ロイの厚い下唇を軽く噛むと、自分の唇をスライドさせて口づけた。薄い舌がするりと忍び込んでくる。歯列を開いて迎え入れ、ちゅくちゅくと絡ませ合った。舌の表面をぞり、と擦りつけられるのが気持ちよくて、下腹に熱が溜まる。口蓋を舌の先端でくすぐられるのに弱いロイは、息を詰めて快感に耐えた。ちゅ、と唇が離れる。

「我慢しないで、もっと愉しめよ。あんた、すごく素質あるから」
「そしつ……」
「そ、えっちな素質。だから、おれと気持ちよくなろうな」

 またあの、艶めいた眼差し。堕ちてくるのを待つような、誘惑するような。ロイの口内に唾液が溢れる。薄かったはずの性欲は、ここのところ色を増していた。クリフに快楽の手解きを受けるうち、どんどん自分が淫らになっていくのを感じてはいたが、こんなふうに、彼以外のひとに欲情するなんて。はしたない、という言葉が頭に浮かぶ。「な、おれの身体、もうあんたのこと欲しくてたまんない……もっと触って……」ダニーはロイの両手を取った。肌蹴たジャケットは肩からずり落ち、その下に着ている襟ぐりの深いタンクトップから、豊満な胸筋の谷間が覗いている。ぺた、と手のひらが布越しの胸に押しつけられる。思ったよりも柔らかな触り心地だった。

 ダニーはそのままロイの手を操り、下から揉み上げるように動かす。むにむにともどかしい感触に、ロイは物足りなさを感じてしまった。直接触りたい。口のなかに溜まった唾液を飲み込む。それを合図に、ダニーは片手を外し、タンクトップの裾を捲くり上げた。「直に触ってみたいか?」ちらりと見えた乳首は勃起して濃いピンクに色づき、すこし大きめの乳輪はふっくりとしている。ロイは思わず、自由な方の手でそっと触れた。柔らかくて、ふにふにしている。いつの間にか、もう片方の手も解放されていたので、両手を裾から潜り込ませて胸を揉む。

 勝手が分からないロイの触り方は、慣れない手つきで焦れったい。
 ちらりとクリフの方を見ると、彼はにやにやと面白そうに二人を眺めていた。「手伝ってやろうか」と言って、後ろからロイの胸に手を這わせると、まるで教え込むみたいに弄くり始めた。「ん、くりふさん……!」悪戯な手に驚いて逃れようとするも、クリフは止めない。逆に、ロイの耳元に「おれと同じようにやってみな」と教唆する。しばらく躊躇う素振りを見せていたロイだが、どうやら誘惑に負けたらしい。彼はもう一度ダニーの肌に触れ、クリフを真似て胸を弄ってみた。

「ふ、うう、あ、きもちい……?」
「んあ、あ、いい……気持ちいい、上手いよ……」

 お互い、愛撫で性感を高めていく。ロイの拙かった手つきは、クリフに直接指導されてすぐに上達していった。親指と薬指でくりくりと拗じられ、ダニーはちいさく喘ぐ。それが何だか色っぽくて、ロイはもっと聞きたいと弄り続けた。真似するだけの手つきから、自分の意思を持った手つきに変えていく。彼の反応を観察して性感帯を探った。びくりと身体が跳ねたのを見逃さず、こりこりと、すこし引っ張りながら乳首を捏ねる。「ひんッ、ああ、そんな、されると……!」タンクトップの裾を持ち上げているダニーの両手が、ぎゅっと布を握りしめた。びくびくびく。膝立ちになっていた姿勢が崩れ落ち、彼はロイの脚にもたれ掛かってきた。

「はあ、ん……すご、あんた覚えるのはやすぎ……イっちゃった……」
「ロイは物覚えがいいんだ。エロいことはとくに、な」

 後ろから耳のなかに注ぎ込まれる低音に、ロイの背筋がぞわぞわッと震える。クリフの手は止まっているのに、快感の回路を直接撫でられたように感じてしまう。「いい顔するんだな、あんた。すごく可愛い」見上げて言うダニーの顔は、陶然として色香を放っていた。彼が伸ばしてくる手に頬を擦り寄せると、耳の裏までするりと撫でられる。「んう、」と纏わりついてダニーの愛撫を味わった。さわさわと子どもを慰めるように動き続ける手を捕まえ、ふと手首の内側に口づけてみる。「肌が熱い」ロイの言葉に、ダニーはため息を吐きながら応えた。

「なあ、こっちも熱いんだ……慰めて」

 彼はベルトをしゅるりと抜き、ゆっくりカーゴパンツを脱いだ。露わになった素足は思いの外すらりとして細長く、少年のような脚線美を描いていた。そして、一枚だけになった、下半身を守るものは。「な、な、なに、その……あの、」ロイが言葉に詰まるのも無理はなかった。ダニーの身につけている下着は、局部くらいしか覆われていない布面積のちいさな前面と、ウエストバンドから伸びる二本のストラップがヒップラインに沿って密着しているだけの、双丘が丸出しになった背面──いわゆる、ジョックストラップと呼ばれるものだった。

「へえ、すげえもん履いてるな」
「迷彩柄の軍装じゃ、そそらないだろ。中身で勝負すんだよ」

 クリフがひゅう、と口笛を吹く。
 ロイは、はじめて見る下着に興味津々といった様子で、しどけなく晒された下半身をじっと見つめていた。肌を目線で辿りながら観察している。ダニーは、とっくの昔に恥じらいなんてものは捨てたと思っていたのに、ロイの向ける真面目な眼差しを浴びて、いたたまれない心地になってしまった。再び兆し始めた股ぐらのものが、ひくんと反応してしまう。彼にそんな気がなくても、視線で犯されているのだと脳が錯覚してしまい、きゅん、と下腹の奥が疼いた。「……もっと見たいか?」ダニーが尋ねると、ロイはきらきらとした好奇心を隠せないようで「みたい」と素直に答えた。

 ダニーは、立ち上がってソファに座る。クリフたちの左隣に収まり、左脚を背もたれに引っ掛けるように乗せて開脚し「触って」とロイの右手を一瞬だけ握った。繋がったままじゃ動きにくいだろうな。と思い、クリフは一度なかに挿れていた性器を引き抜いた。ずる、と結合から解放されて自由になったロイは、奥行きのある座面に収まって、ダニーと向かい合わせに座る。おそるおそる、ジョックストラップの前面に触れてみると、そこはすでに一度達していたせいか、じっとりと濡れていた。心許ない面積の布を押し上げる性器に、つうっと指を這わせる。「んん……」ダニーが感じ入って喉を反らした。喉仏の目立たない首はなだらかで、なまめかしい。

──触りたい、舐めたい、噛みつきたい。

 オスとしての欲求が、じわじわと湧き上がってきた。クリフさんに抱かれるときは自分がメスになったような気持ちになるのに、彼のことは抱いてみたいと思う。だって、こんなにうつくしい人が、いやらしく誘惑してくるから──ロイは、ダニーの下着のなかに指を差し込んでみた。ストラップの部分をちょっと引っ張って、つくりを確かめながらするすると脱がせていく。手のなかに収まる布は、なるほど、無防備だけれど開放感はありそうだ。「は、やく触れって」無意識に焦らされていたダニーは、切羽詰まったようにロイを急かして、腰をくんと振り上げた。

 露わになった性器には触れず、ロイはダニーの喉仏に唇を寄せた。あまり突起していないそこを食む。やっぱり、なだらかで、なまめかしい。舌を出して軽く押してみると、くく、と骨の存在を感じた。「あ、そんなとこ、何で」ダニーが喋ると骨も動くので、追い掛けるようにして喉仏に噛みつく。力を入れないよう、甘く、優しく。それでも、急所を抑えられた身体は、反射的に逃れようとする。だめ、逃さない。ロイは、まるでヴァンパイアの吸血行為みたいに、かぶりついた肌を味わい続けた。

 首筋をやわやわと唇で辿り、鎖骨を通ってタンクトップの襟ぐりまで着いたら、裾をずり上げて柔らかな胸筋に進路を変える。さっき散々愛撫した乳首は赤く腫れ、ぷっくりと主張していた。ここも舐めてみたい。好奇心の赴くまま、かぷりと口に含んだ。「んッ」敏感になっているのか、ダニーがちいさく声を上げる。唇に感じるそこは、手で触れたときよりもずっと柔らかで触り心地がいい。そういえば、手のひらと唇には発達した触覚が備わっているんだとか。何処かで見た知識を思い出してつい、ちゅう、と強く吸いついてしまった。

「んん、や、それ」
「ひもひいい?」
「ん……」

 赤ん坊が乳飲んでるみたいだな。と、クリフは二人の様子を眺めていた。やることは幼くて、色仕掛けなんかするような男にしてみれば拙い行為だろうに、ダニーは本気で感じ入っているようだった。あ、あ、と半開きになった口から赤い舌が覗く。ロイは胸にご執心のようで、相手の反応などお構いなしに愛撫を続けているから、余計につらいのだろう。最初は退けようと頭に添えられていた手が段々力なくなり、ついには諦めたのか、もっとしてと求めている。だがまあ、こんなままごとじゃ満足出来ないだろうな。クリフが踏んだ通り、ダニーはその先を望んでもどかしく腰を揺らしていた。

「した、うしろ、さわって」

 ダニーが右脚を持ち上げ、性器のその奥を晒す。
 熟れた肉穴は使い込まれていると見て、物欲しそうにひくついていた。他人のこんな場所を見るのがはじめてのロイは内心で驚いたものの、ちょっと興味をそそられて、つつつと中指で縁をなぞってみる。ぷに、とすこし弾力があって、力を込めると簡単に飲み込まれてしまった。熱くて柔らかい。「へえ、準備万端ってか」クリフの言葉を聞いて、ロイは動きを止めた。じゅんび。そう言われてみれば、やけに滑らかに入ってしまった。「僕に抱かれたくて、じゅんび、したんだ」率直過ぎる言葉に、ダニーは羞恥心で耳まで真っ赤になりながら呻く。

「クソ、あったりまえだろ。これが本業なんだから……つか、さっさとしろよ!」
「ご、ごめん……あの、あの、します……」

 何なんだよ、調子狂う。童貞かよ。これで既婚歴ありとか詐欺だ。
 小言にいちいち困った顔をするロイが可愛くて、クリフは笑いを抑えきれなかった。くく、と漏れた声を耳聡く拾って、ダニーが「おい護衛! 教えてやれよ!」と喚く。

「仕方ねえな。ほら、ロイ。いつもおれがしてるみたいに慣らしてやればいい」

 中途半端に入った中指に無骨な手を添えられて、ロイは素直に動きを再開した。クリフさんがするみたいに。と、彼のいつもする要領を真似てゆっくり指を増やしていく。自分がされるときはどうしていたか、何処が気持ちよかったか。思い出しながら隘路を進み、性感帯を探り、なかを開いていく。「ふ、んん」ダニーが身を捩ったのを察して、ここがいいんだ、と感じた場所を強く押す。「ッい!」きゅう、となかが締まった。「大丈夫か」と確認したかったけれど、また怒られそうなので、黙って慣らし続けた。「……も、いいから」指を三本飲み込んだあたりで、ダニーがロイに声を掛ける。

 ちゅぷ、と指を引き抜くと、粘液と潤滑剤の糸がつうっと垂れた。
 ロイは座面の上で姿勢を正し、ダニーに覆いかぶさって眼下に影を落とす。彼はまだ恥ずかしいのか、左手の甲で口許を押さえていた。「可愛い」思考が口から飛び出していた。「はあ? 何、あんた、ホント調子狂う」眉を寄せて軽く悪態を吐かれても、照れ隠しの強がりみたいで。自分の痴態を押さえに来たにしては、ずいぶん甘いひとだとロイは思った。ほんとうは、クリフに前もって怪しいと知らされていたから、それなりに警戒していたのに。「おれが何とかするから。まあ、安心しとけ」とは言われたものの、まさか事に及んでいる場面を見せて巻き込むなんて。

「ふふ」
「あ、何笑ってんだよ」
「僕の恥ずかしい姿を撮りに来たのに、君のほうがずっと恥ずかしい格好をしている。これ、誰かが見るんだろう? 君は気にならないのか? 僕は、見せたくない。だってその、大切にしたいから」

 カッとダニーの顔が熱くなった。
 いままで、そんなことは気にしたことがなかった。自分はただの道具みたいなものだし、誰に見られようが使われようが、どうでもよかった。どうせ、もとから尊厳も何もない身体だ。目の前にいる清らかな男とは雲泥の差がある、汚れ仕事で食っていくしか出来ないクソみたいな存在。そのおれに、こいつは何て言った。たいせつにしたい、だなんて。仕事で何度も殺してきたこころが、突然息を吹き返して痛みを訴えてくる。だから、長期戦は得意じゃないって。おかしな情が湧いてしまうから──。

 ロイはダニーの前髪を梳いて、額にひとつ口づけを落とした。それだけで、ダニーは涙が出そうになってしまった。胸のうちに、愛おしいという気持ちが芽生えてしまう。深入りしたくないと思っていたのに、懐に踏み込まれてしまった。言葉にならない感情が溢れたのを察したのか、ロイはふわりと微笑んで「君を、愛してもいい?」と訊いた。はじめてクリフに抱かれたときと同じ台詞だった。自分の知る、いちばんずるくて胸が震える、とどめの言葉。あのときのロイと同じように、ダニーも「……いいよ」と応えてくれた。

//

「はあ、あ、ろい、ロイそこ、いいッ……!」
「ん、ん、なか、あつい……」

 ソファのスプリングが音を立てて軋む。
 乱れた着衣を引っ掛けたまま、二人はお互いの身体を貪っていた。いい、すごい、もっと。あけすけな言葉で求めてくるダニーを満たしたくて、ロイは健気に律動し続けている。勝手が分からず、三回も「大丈夫? 痛くない? 気持ちいい?」と訊いてしまったけれど、ダニーは毎回「いい、ぜんぶいいから、も、きくな」と喘ぎながら答え、ロイの背中に爪を立てた。わずかな痛みは、甘やかな刺激となって神経をくすぐる。つられて喘ぎ、半開きの唇から吐息を漏らした。隘路をこじ開け、性器を奥へと進める。熱を持った肉筒のうごめきに、意識を持っていかれそうだった。それでも、腰を動かすことをやめられない。まだ、なかを味わっていたい。もっと、何処までも深くまで繋がりたい。身を捩るダニーの顎を捉えて、繋がりを増やしたいみたいに唇を合わせた。

 絶景ってやつだな。
 夢中になってまぐわう二人を肴に、クリフは自身の昂りを感じて下唇を舐めた。水音を響かせて口づけを交わすロイとダニーは、すっかり行為に耽溺している。舌を唾液を、とろりと絡ませて、上も下もぴったりとくっつけたまま離れたくないという様子だった。背徳的なセックスだな、と思う。婀娜っぽく快楽をねだるダニーに、必死で腰を動かしながら応えるロイはいとけなく、まるで悪い大人に誑かされたガキでも見ているみたいだった。まあ、誑かしてる悪い大人ってのは、おれも含まれるけど。出来れば、一服しながらもうすこし眺めていたいところだが、あいにく建物内は禁煙だった。ふむ、そうなれば、することはひとつだ。

 目の前で揺れる白い双丘に手を這わせる。
 ロイが肩をびくつかせ、咄嗟に振り向いて驚いた顔を見せる。

「あ、クリフさん、あの、」
「気にすんな、続けて。おれはおれで、愉しませてもらうから」

 さきほどの行為で解けたなかは、指をあてがうとあっさり二本も飲み込んでいった。まだ熱くて柔らかい。前立腺を探ると、ロイはびくりと背を震わせて突っ伏してしまった。動きを中断させられて焦れたダニーは、クリフに不満の眼差しを送る。それを視線でなだめ、三本目の指を肉穴に捩じ込んだついでに、反対の手でロイのまろい尻を軽く叩いた。「ひゃん!」と甲高く上がった声は色を含んでいて、まだまだ何かしらの素質がありそうだな、と苦笑した。

「腰がお留守だとよ。集中してやれ。生殺しはつらいって、知ってるだろ」
「む、むり……ゆび、やめてください……」
「だめ。悪いが、そいつは聞いてやれない」

 ぐるりとなかを掻き回し、指を開いてくぱっと媚肉を覗かせる。後ろで感じる悦びを知った身体は、物欲しそうにひくついて男をねだっていた。口内に溜まった唾液を飲み込む。「いまから、三人で愉しもうな」耳元で囁かれた言葉の意味が分からず、ロイは眉を下げて困惑していた。クリフはジャケットを脱いでネクタイを引き抜くと、二人の上に覆いかぶさる。「は、お前まさか、」ダニーが皆まで言う前に、猛った性器をロイのなかに突き立てた。

「~~ッあ♡♡♡」
「ッん♡♡」

 ずっぷりと奥まで一気に挿入されて、ロイの口から媚びた悲鳴が上がった。その下からも、くぐもった嬌声が漏れる。突っ伏したままのロイは、突然の快感にしびしびと痙攣しながら、ダニーの胸に額を擦りつけて堪らえようとした。構わず、どちゅどちゅと大胆に奥を突き上げる。「あう♡♡らええ♡♡」くん、と背を反らしてよがる細い腰を、クリフが両手で強く掴んだ。甘く低い声で名前を呼び、鼓膜を犯しながら「ほら、お前も動いてみろ」とそそのかす。耳殻をぞろりと舌で舐め「いい子のロイは出来るよな?」とダメ押しすれば、その言葉に弱い彼は、のろのろと上半身を起こした。

 不安そうな顔のロイが、ダニーを見つめている。
 眉は下がり、青い瞳は泣きそうに潤んでいた。これからすることで叱られるかもしれない、と怯える子どもみたいだった。つい、母性にも似た庇護欲が溢れてしまい、胸がきゅうと切なくなる。ダニーは「おいで」と両手を上げて、涙の零れそうな目尻を優しく撫でた。

 許しをもらったロイは、ダニーのなかにゆっくりと性器を挿入する。ねっとりと絡みつく肉壁はあたたかくて、奥へ進めると先端をきゅうと柔らかく締めつけて「もっときて」とねだっていた。クリフの律動に導かれるようにして、ロイもへこへこと拙く腰を振る。エクスタシーの波が行ったり来たりして、次第に動きがぴったりと重なると、まるで三人の境界線が溶けてしまったようで。あ、ふわふわする、すごい、むじゅうりょくにほうりだされたみたいな、ちがう、もっとなにか。夢見心地の頭では上手く表現出来ない。と、クリフがロイの最奥を突き上げた。「ひンッ」どぷ、となかに出されたのを感じる。つられて、ロイもダニーの腹に熱い精子を注ぐと、彼もびくんと身体を弓なりにして、とろとろと勢いのない吐精をした。

「あ、らにぃのなか♡♡あったかい♡♡♡」
「ん♡ん♡ろいのぉ、あつい♡♡」

 官能に頭の芯まで蕩けた二人は、溺れるものが助けを求めて何かを掴むように、互いの身体にしがみついて悦楽を享受する。揺蕩う余韻に呼吸を整えていると、一足先に復活したクリフがゆるゆると動きを再開した。「ま、ってまだ……!」ロイが焦った声を上げても止まらない。ダニーも下唇を舐めて、ぐいっと腰を浮かせた。きゅんきゅんと脈打つのは、性器なのか下腹の奥なのか。クリフの剛直に後ろを貫かれながら、ダニーの媚肉に前をきゅうきゅうと締めつけられ、甘美の波に溺れていく。息が出来なくなるほどの絶頂を何度も味わい続け、ロイは意識が朦朧としていた。前でイッて、後ろでもイッて。射精しても前立腺をごりごり擦られると、また勃起してしまう始末。これ以上感じたら壊れてしまいそうだと思うのに、身体は言うことを聞かず、腰の動きを止められなかった。

「やあ♡とまんな♡♡」
「はあ♡♡ろい♡かわいい♡♡とまんらいれ♡♡」
「ひう♡♡もうやら♡♡しんじゃう♡♡かんじらくにゃい♡♡」

 このままだと、快感の回路が焼き切れてしまう。いつまでも続く快楽の海に突き落とされたロイは、次第に何も考えられなくなっていき。もうやだ、あたま、おかしくなる、きもちいの、いや、うそ、きもちいの、すき、あ、あ、またいっちゃう、もうだめ、もう、なに、わかんない──。

「くううん♡♡」
「ッあ、また♡きてる♡♡」

 ロイが何度目かの射精をして息を詰め、最奥にほとばしりを受け止めたダニーも、ひくひくと痙攣しながら浅く短い呼吸を繰り返した。目の前がちかちかと白み、使い物にならなくなった頭の芯がぼうっとする。二人の緩んだ口許から舌がはみ出していても、誰も気にとめなかった。後ろからクリフの指が伸びてきて、ロイの舌を人差し指と中指で挟む。「あえ、」と零れた意味のない言葉と一緒に、無骨な指で表面を扱かれた。汗でほんのりと塩っぽい味がする皮膚。開けっ放しの口内からどんどん唾液が溢れてきて、クリフの指を伝い、ダニーの胸にもぼとぼと涎が落ちた。もう、恥ずかしいという気持ちも起きないほど慣らされてしまっている。舌の感覚器と同時に後ろでゆるく律動する性器になかを擦り上げられ、許容量を超えた快楽に、眼球がぐるりと上向いた。

「ああ、ロイ、やらしい顔してる……」
「な、いい顔するだろ」

 クリフとダニーの声に愛おしさが滲む。
 ロイは、微笑みの形に緩んだ口許からだらしなく舌を垂らし、ほとんど白目を向いていた。透き通っていた青い瞳はぐずぐずに蕩けて濁り、視点はゆらゆらと虚ろに揺れている。上気した頬が恍惚の表情を彩って、意識はとっくの彼方に飛んでいた。抑制の箍が外れてしまったその身は、多幸感に満たされて、どっぷりと法悦に浸かっている。「あへえ♡♡くりふしゃ♡♡らにぃ♡♡」呂律の回っていない喋り方で、無意識に名前を呼ぶロイは、何かを掴もうと両手を伸ばしてきた。その様子に顔を見合わせた二人は、それぞれ手を取り、慈愛と誓いの気持ちを込めて口づけた。

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 情事を終え、気を失ったロイの頭を膝に乗せて、クリフはその短い髪を弄んでいた。ほんとに可愛くてしょうがないんだな。と二人を眺めながら、ダニーはさっさと身を起こし、身支度を整え始めた。どろどろになった下半身を綺麗にしたくて、何か拭う物を目で探す。「おいおい、ピロートークもなしに帰るのか?」揶揄う口調で呼び止められ、眉を寄せた表情で応える。

「あのな、おれはあんたらと違って暇じゃないんだ。それに、こうなったら、やらなきゃなんねえことも増えちまったし……」
「何をやらなきゃいけないって?」
「分かってんだろ、おれが来た理由。ケジメつけに行ってくる」

 ダニーは不敵に笑った。
 だてにこの仕事で食ってるわけじゃなさそうだ。この短時間で、彼が考えを変えてロイを守ろうと決意したことがようく分かった。「おれと同じだな」「うるせえ。同業だなんて嘘言いやがって」「いや、それはホントなんだが……まあいろいろあって、な」お互い、もう隠すこともない。二人はまるで、ロイという存在で繋がった戦友のような気持ちを抱いていた。ほれ、とクリフが自分のワイシャツを脱いでダニーに寄越す。「使えよ。着替えはここにあるから、捨てていい」一歩リードしている者の余裕を見せつけられて、すこしむかついたので「念入りにクリーニングして返してやるよ」と、ダニーは強気に言い返した。

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──さて、その後。

 内部告発によって、一人の士官が左遷された。
 彼こそ、ロイの失脚を狙ってクリフとダニーを派遣した上官であった。

 依頼を受ける際に、保険として会話を録音しておいたダニーが、それを上層部に突き出して陰謀を暴いたのだ。言い逃れの出来ない証拠を押さえられ、左遷とは名ばかりの引退を促されたらしい。本音を言えば、不名誉除隊にでも追い込んでやりたかったが、軍法会議でロイの名を出されたら彼の経歴に傷がつくかもしれないと思い、憤りを収めた。

「しっかし、何でこんな潔白な男が狙われたんだか」
「脅してエロいことしたかったんだろ。ロイを見る目がこう、下心ありって感じだった」
「げ、キモい」

 わざとらしく顔をしかめるダニーに、クリフは堪え切れずちいさな笑い声を上げた。そのキモい上官のおかげで、二人ともロイに出会うことが出来たのだが、それはそれ。いまは、目の前にいる愛おしい存在を可愛がることに集中したい。行儀悪くデスクに腰掛けたクリフは、椅子に座ったままダニーに跨がられたロイの姿を目で堪能していた。

「ん、だにぃ、きもちよくない?」
「あン、いい。もっと強く、噛んでいいから……」

 軍装を肌蹴けて胸に吸いついていたロイが、ふと顔を上げて尋ねるので、ダニーは熱い吐息混じりに応えた。あれから、ダニーは正式に宇宙軍へ入隊すべく基礎訓練を受けている。何ヶ月も兵舎に寝泊まりするので、家賃がもったいないとフラットは解約してしまった。これを期に、卒業したらロイの自宅に転がり込んでやろうと、クリフと一緒になって密かに計画している。そうすれば、二人でもっとロイを「甘やかして」やれるから。

「かわいいなあ、そんなにダニーのここ好きなんだ」
「んう、らって、やわらかくて、あんしんする……」
「ロイ、赤ちゃんみたい。かわいい」

 何度も言われる「かわいい」の言葉にきゅんと下腹部が疼く。
 クリフに目覚めさせられ、ダニーに育まれた、とてもいやらしい衝動。もう、ここが職場だということも忘れ、二人にたっぷりと愛されたい。はしたないと思うのに、淫乱に作り変えられてしまった身体は我慢が利かなくて──。

「くりふさん、だにぃ、きょうもいっぱい、あいして……」

 とろんと蕩けた瞳は、潤んで青が濃くなって見える。情欲の熱がともった合図。クリフが軍服のジャケットを机上に落とし、ダニーも軍装のカーゴパンツをずり落とした。二人でロイの上も下も脱がせに掛かり、しゅるりと黒いネクタイを引き抜く。「で、今夜はどっちから欲しい?」「挿れるのが先? それとも挿れられたい?」白い肌をつつ、となぞって悪戯に焦らす。ロイの答えはいつも決まっているのに、毎回こうして意地悪く訊いてしまう。

「あ、ふたり、いっしょに、ほしい♡♡」

 未知なる快楽の追求は、まだまだ続いていく──。