子どもたちへのクリスマスプレゼントを選びにふたりでモールまで来たものの、平日だというのに人混みの騒がしさにすこし疲れてしまった。肝心のプレゼント──ジェームズとフィリッパにはパズルとおとぎ話の挿絵の画集、アナにはうさぎの抱きぐるみ──は買えたので、休憩しようとカフェに避難する。
「どれも目移りしてしまって……もうこんな時間だ」
「いいじゃないか、リジーなら気にしないよ」
マックスの妹に子どもたちを預けて、久しぶりにふたりきりになった。ほんとうはもっとスマートに買い出しをすませて、残りの時間にデートを、なんて話していたのに。ブリジットは「なんならお泊りでもいいのよ、兄さんたち」と冗談めいて送り出してくれたけれど、まさか本気じゃあるまい。
「早めの夕食でもとっていく? 場所を変えたほうがよさそうだけれど」
「確かに、ここじゃ落ち着かないな。着替えの必要な店にでも予約を入れようか?」
「もう、そういう冗談好きは兄妹お揃いなんだから」
ふふ、と笑うドムにマックスも笑う。ちいさな子どもたちがいると、なかなか落ち着いたディナーデートとはいかないけれど、いつかタキシード姿の彼も見てみたいな、とドムは思った。
「アナがもうすこし成長したら、家族でドレスアップして出掛けるのはどうだろう? マナーを身につける練習にもなるよ」
「ああ、いいなあ。フィリッパがね、最近お化粧とかにも興味あるみたいで……」
カフェで子どもたちの話題が広がってしまって、結局そこを出たのは一時間も経ってからだった。楽しい時はあっという間に過ぎてしまう。ドムは、マックスと一緒に居ると胸がどきどきしてしまって、どうしてもお喋りがとまらなくなってしまうのだ。同じ家に帰るのだし、もう遠距離でたまにしか会えない仲でもないのに。
プレゼントの入った紙袋をマックスが持って立つ。「お手を」と言ってドムに手を差し伸べてくるマックスの動作は、ともすればキザったらしいのに、どうも彼にはよく似合っていて。こういうさりげなくリードしてくれるところが素敵なんだよなあ、と関心してしまう。
──あ、そういえば。
カフェを出てすぐのエリアに、冬の装身具が並んでいるのを見て気づいた。マックスへのプレゼントはどうしよう、と。彼の好みはなんとなく把握しているし、一人のときにまた買いに来てもいいだろう。けれど、何故かいまとうとつに、ここで何か選びたいと思ったのだ。
「マックス」
前を行こうとする彼を呼びとめて、「あなたに贈るものを選ばせて」と囁く。ちょっと驚いたような顔をしたマックスは、しかし、二つ返事で「嬉しいな。じゃあ、僕にも選ばせて」と応えてくれた。ふたりで互いに贈るものを選ぶなんて、なんだか新鮮でいい。
「プライベート用のマフラーなんてどう? 仕事用のシックなやつはあるけど、子どもたちと遊びに行くときなんかは……これとか。ね、チェックも似合う。あなたのクローゼットにはもっと遊び心が必要だよ」
「はは、じゃあ君には……これ。僕のと色違いなんてどうかな」
ペアルックみたいで、最高に遊び心があるんじゃないかな。と言うマックスにぽぽぽ、と墓穴を掘った気がするけれど、負けず嫌いでもあるドムは彼の手からマフラーを取って自分にあてがい、「いいね、柔らかい首輪みたい」と挑発してしまったので。会計を終えたふたりは、ブリジットに「今夜は帰れないから」と電話をするはめになったのであった。